France tour

舞踏家ナナミ氏、臼井さんとのフランス・ブレストへのツアー、2006年5月末。
マネージャーとして協力いただいた照明家のMargoさんと共に、パリか ら高速鉄道TGVにて移動し、フランス最西端の街ブレストに始まった。
かつてからの軍港であり、幾度も戦争による被害を受けたこの街には、古めかしい建物も無く、観光客が多く訪れることは無い。
アスベストを大量に積んだ貨物船が、産業廃棄物の処理のためインドにむかっていたが、最終的に処理の受け入れを拒否され帰港した。というタイミングの○○ である。

ケルト色を濃く残すこの地方ブルターニュは5月末にしても、風が吹いてるせいか少し肌寒い。
宿泊受け入れをしてくれたのは、ナナミ氏の舞踏ワークショップを企画、参加してくれていたジャグリングパフォーマーでもあるピエール氏と代々この地方在住 のレジス氏。
広々とした大地、小高い丘の上にある、緑に囲まれた田舎の大きな古い家で、暖かくアットホームな歓迎を受けた。
かつてイギリスのグラストンバレー地方に行ったことを思い出させるような気候や景色であった。京都からブレストまでほぼ直行したのだが、ワインと鳥達の歌声に癒され、旅の疲れはすぐにとれた。

翌日より4日間のナナミ氏のワークショップがブレストの中心にある国立劇場の大きなリハーサル室にて始まった。参加者とナナミ講師、真剣に取り組む姿と舞踏に対する関心の強さに驚いた。
ぽつぽつと奥行きのある言葉を発するナナミ氏流の指導と、難解な内容を通訳するMargoさん、集中力そして感性とともに体験していく参加者は、やがて蜘蛛やガラパゴスイグアナの歩行を行っていた...。使う筋肉の違う部分についての話は、たいへん興味深い、。意識と肉体や存在について、いろんな動きを通して舞踏的世界、なにかに触れて行ったようだ。

 

ワークショップ会場の国立劇場、最上階にて「蜘蛛の歩行」

 

 

 

最終日は20人が4つのグループに分かれて、私か臼井さんのソロ演奏とともに作品発表をするのであるが、3日目の夜は「パッスレル」という元バナナ倉庫を改築したアートスペースにて我々の「本番」を迎える。  

白一色の広々とした会場は、なんとあの鈴木昭夫さんの作品展最終日であった。
我々のセッションは殆ど「即興」の世界である、「場の空気」と成り行きに身をまかせ、若干の無声演劇的要素か、あるいは詩的な要素にもアンテナを張り、鑑 賞者で もあることをしばしば思い出しつつ、シタールの弦を「割り箸」で叩いた...。シタールのライブ音源を電気効果を用いて描いて行く手法をとるが、それは不 思議なエフェクターを通したビリンバァウか口琴のような世界でもあり、やがて重厚な音色とトランス的な高揚へと展開して行った。ギターの臼井さんのパッ ション、鋭い音と、ナナミ氏の 舞とともに...いまの時代、いまのメンバー、いまの状況において起こりえる、何かしらの確かな表現であったように思う、それはまるでカオス的な混合世界 が、廃業したバナナの配送の替わりに発信されたように感じて嬉しかった。
初めての海外での舞踏公演にての演奏、そして力強く大きな拍手に感謝。

アー トスペース・パッスレルにて

 

 

 

 

終演後かたづけを終え、一段落して、会場から少し離れたところで行われていた「野外のお祭り会場」へと向かった。伝統的なお祭りではなく、ビールやワイン、生ガキなどの出店もある大きなパーティーのようであった。風変わりなメイクや仮装した人達、かなり酔っていそうな人、大人から子供までみんながギャザリングを楽しむ。ステージでのアコーディオンの弾き語りの若い女性とベースやギターを弾くおじさんがかっこよかった。街の真ん中でこんなんできたらいいもんやなぁぁぁ、。

アコーディオンの弾き語りと、生ガキをすすめるナナミ氏

 

 

 

連日自宅を宿泊所として解放してくれたピエールとレジスのもてなしに感謝し、ある日、みそ汁と卵焼きに醤油、豆のサラダなどの日本食風のものをふるまい、 喜んでくれて嬉しかったが、連日ブルターニュ地方自慢のいろんなものをごちそうになった。

濃厚なバターと田舎パン、卵やハムとチーズが包まれた蕎麦粉のク レープ、蜂蜜のワインなど、。楽しいブレストでの5日間でした。

 

 

ブレストの海にある奇岩、この地方特産の蜂蜜からつくったワイン(左上はラベルの絵)を自慢げにすすめてくれたピエールと、泊めてもらった家とその前の木

 


翌日再び高速鉄道TGVにてパリへ移動し、その日の夜行バスでドイツのフランクフルトを経由し、ウィスバーデンのフロイデンベルグ城へと向かう。

 

 

 

他の方の公演ポスター 

 

 

 

 

街中の壁画

 

 

 

 

 

フランクフルト、ウィスバーデン ツアー その2

 

 

フランスの最西端ブレストからTGV鉄道にてパリへ、その日の夜行ユーロラインバスにて翌朝フランクフルトに到着。
なんとナナミ氏はパスポートを忘れてバスに乗れず、バスターミナルの手前でとりに帰ったが、10分差ぐらいで間に合わなかった。
他3人は、さらに鉄道で1時間弱の移動、ライン河に近いウィスバーデンという美しい街に着いた。駅のホールでMargoさんのお母さん(まきこさん)に暖 か く迎えられた。この街在住の、まきこさんには公演のサポートをしてもらっていて、パリにも 永く住んでおられた方。


フランクフルトの駅に貼ってあったポスター

 

 

 

立派な大きめのタクシーに乗り、郊外にあるフロイデンベルグ城に着く。森に囲まれたこのお 城は、現在、子供達などが見たり 触れたりできる、力学的マジックのオブジェとでも言ったらいいだろうか、不思議でおもしろい創作物にあふれていて、ユニークな体験施設として成り立っていた。朝の9時になると大勢の子供達のうきうきわくわくした声が溢れる。
我々の宿泊もこのお城の最上階に用意していただいていた。

会場が宿泊所となったフロイデンベルグ城と

屋外に創られた風が吹くと弦が響くオブジェ

 


 

着いた日はまきこさんの手料理でアルジェリア料理をごちそうになり、おしゃべりとワインでふらふらになりながらも、臼井さんと市バスにのってなんとかお城に帰った。翌日時間があったので、遅れて到着したナナミ氏と臼井さんと一緒に、この街で有名な温泉に行った。立派な建物の中はまるでローマ風呂のようで、 装飾や大きな彫刻品がすばらしい、数々のサウナと深くて広い浴槽が2つ、大きな水風呂はまるでプールのようであった。なんと混浴のみ!である、。入浴料 17ユーロ。これでもかというほど温泉に浸かっては水風呂へ、を繰り返し、とろとろになる。疲れを必ずとってくれる温泉の力はやはりすばらしい、。 それにしてもみんな身体が大きいのでした、。カップルの方々は特に仲良く楽しんでいた様子であった、。

 

 

 

 

まきこさんのアルジェリア料理、

たっぷりのトマトや野菜と羊肉を鋳物鍋で煮込んだもの

 

 

 

 

この日の公演はお城の1階のホール、つながった大部屋2つをスペースとしていた。サウンドチェック、会場設定が整い、いざ 本番。
まきこさんのドイツ語による舞踏についての紹介などがあり、お城の代表者の方のお話が終わって、舞台に出た。
臼井さんのギターに始まり、ナナミ氏が踏んでいる、。私はまたしてもシタールの弦を割り箸で叩く、風変わりなエフェクトを効かせたサウンドを敷きつめて、 三者三様の融合する世界を模索するのであった。殆ど全裸に近い白塗りをしたナナミ氏がゆっくり動いている、かたずをのんで観ているお客さん達、真剣な姿勢で観ている少女。大きなピンタを自分自身に浴びせたナナミ氏、その音の反響が石造りの城内に響く。時にぶっ倒れたり、つり下げてあったオブジェを背中を使って落としたり、倒れては起き上がる、動く彫刻のような世界が、古いお城にマッチしていたようだ。ふと気づくと終演していた。そしてたっぷりの拍手をいただき、とても嬉しかった。

もともとこの街では、こういった舞踏公演のような催し自体まず少ないらしく、クラシックの方が盛んなところのようだ。しかし終わってみるとオーガナイザー、お城の管理者であるマティアスさんはかなり感心されていたようで、次回の公演もぜひお願いしたいということで、晩ご飯をごちそうになりながら、スポンサー集めのことや、具体的な日程の話にまで及んだ。特に倒れては起き上がる、その「根性」というものに感動された様子であった。

視覚と聴覚にアピールする、無声に近い身体表現アートと即興表現によるサウンドの織り成す世界。とらえ方、楽しみ方、メッセージ性のようなものは、きっと オーディアンス一人一人によって様々な、観賞のしかたによるゆえ、ある意味その方々の自分自身の生き方のようなものか、影響を受けてきたなにかの積み重ねか、なにかが働いて作品を創っているように思える。なぜなら我々の表現に具体的で整然とした解りやすさはないからで、その瞬間のイメージ、必然性のような ものを頼りにしつつ、場のエネルギーによる意思の力をもちあわせて、表現しているからだと思う。現実というものは、それぞれ過去の体験や習性によって、思想や趣味によって、ついそう写ってしまうからだろう。

私の演奏をお届けした、というのではなく、他者に動かされて行ったというだけのことである。

 

 


ハンバーグと2種類のサラダ、ワインをいただき、デザートもおいしかった。

翌日臼井さんはフランクフルトから帰国し、夜行バスまでの時間をまきこさん宅と、公演を観にきていただいたアート好きで舞踏ファンでもある方のお宅にてお茶をいただき、その後同じ路線でパリへと向かう。

 


パリ公演は、尽力いただきながらも、実現しなかったため、Fixチケットの搭乗日までオフとなり、数日間滞在を楽しむことになった。モンマルトルの丘のふもと、ナイトショーで有名なムーランルージュにも近い、かつてピカソが住んでいたアパートの近くで、シャワーとバルコニーがついた日当たりが良く安い部屋をとり、コンコルド広場から凱旋門やエッフェル塔を眺め、入場無料日であったルーブル美術館を、ナナミ氏と一緒に廻ったりした。やはり一見の価値はおおありで、圧巻であった。モナリザの微笑みを観ようとする群衆の多さ、フランス革命を象徴するドラクロワの自由の女神、フランス、イタリアの絵画にひき付けら れた。モヘンジョダロの巨大な石像や、フランス彫刻を観たら、ごちそうさまになり、美術館を出た、。欲張ってたくさん観ようとしたら疲れてよくないだろうと思った。

 

 

パリの宿からの眺め

 

セーヌ川

 

 

 

Margo さんのモロッコ風料理は七面鳥と野菜の煮込み

そして麦でできたクスクス

 

 

ナナミ&Margoさん宅にて、彼らの友人達とすごしたり、天理教団体が主宰する日仏会館のようなとこ(図書館やギャラリーと地下シアターなどがある) で、恒例の舞踏フェスティバルに招待していただいたりして、楽しくすごした。市を覗いたり、食品スーパーで安くておいしいワインやブルーチーズ、パン屋で バケットを買ったり。中華街では豆腐も売ってるし、アラブ系ではカバブもあり、アフリカ系東南アジア系、アメリカ人の団体旅行者、バックパッカーや浮浪者風の方、世界の大都市はなんでもありの人種のるつぼである。

読んでくれてありがとう。

13 Jun 2006